画を探して

ブログタイトルが決まらないので(仮)のつもりでしたが、そのままこのタイトルになりそうです。

道半ば、吹雪で撤退~岩木山

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道半ば、吹雪で撤退~岩木山

2017.3.18 岩木山

雪山に登れるようになったからには、スノーモンスターを見てみたい!そんな思いから向かったのが、この前の週に登った蔵王山でした。幸い天気が良く、キラキラと輝くスノーモンスター達に出会えたのですが、それに気を良くしたことで、もっと東北の山々に登ってみたいという気持ちが芽生えてきまして。結局その思いを抑えきれず、はるばる青森まで行くこととしました。

目指すは名高い、冬の八甲田山。これまでも何度か仕事で冬の青森に行った経験があり、少しは地の利があるというのが最大の理由です。とはいえ、夜行バスで青森までいって、いきなり八甲田に登るのはちょっと不安。そこでまずは弘前に向かい、初日は津軽富士と称される岩木山を目指し、2日目に八甲田山を目指すこととしました。

嶽温泉~八合目駐車場・リフト乗り場~(敗退)~嶽温泉 

結果から書いてしまうと、タイトルの通り、この山行では雪に吹かれて撤退することとなります。これを書いているのは、それから数年後のこと。今思えば色々と無防備というか、なんというか。そんな記憶を今でも思い出せる、青森の一日です。

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さて、早朝弘前駅に着き、急いで地元のバスに乗り換えて、登山口である嶽温泉を目指しました。時期のせいもあってか、他の乗客はまったくいません。はるばる青森まで来たということで、気分は上々です。

バスに揺られていると、徐々に岩木山が近づいてくるのですが、これがまた壮大なこと・・・!。その姿を見るまで、正直翌日の八甲田のことで頭がいっぱいだったのですが、車内から見える岩木山の威容に強く心が惹かれたのを覚えています。

さて予想はしていましたが、現地は深い雪に覆われています。初めて用意してきたワカンの装着にちょっと手間取りつつ、緊張しながら登山スタート。幸いうっすらとトレースが残っていたので、それをゆっくり追って進むこととしました。

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人の多かった蔵王とうって変わって、ほかの登山者の姿がまったくありません。それに加えて、進むにつれて山頂方面はどんどん雲が掛かっていき、本当にこのまま進んで大丈夫なのか、不安がよぎります。まだあんなに遠いのに・・・。

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それからトレースを追って歩き続けて、八合目駐車場まで到着しました。雪がなくなる夏場にはここまで車で来ることができます。

ただこのあたりから徐々に急になって、風も強くなり、少しずつ先が分かりづらくなってきました。加えて、雪がちらつきはじめてきたので、まずは一休みとばかり、風が防げるリフト乗り場に進んで休憩タイム。この写真はその時の1枚です。

ところがここから登り始めた途端、急激に風と雪が強まり、どんどん視界が悪くなって、わずか数メートル先までしか見えなくなりました。この先こそ、しっかりと登り始めるあたりなのに・・・。

行くか、帰るか。

悩むことしばらく。ふと後ろを振り返ってみると、5歩前の自分の足跡が、暴雪ですぐに消えていきました。それでやっと撤退の踏ん切りがついて、山を下り始めました。

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雪に吹かれながら、見覚えのある樹林帯まで駆け下りて、やっと一息の一枚。ここまでくれば視界が悪くなっても、帰り道に迷うことはありません。考えてみれば、これまでの雪山ではここまで天候が悪くなった経験がなく、どのくらい天候が悪くなったらどう行動する、そうした想定も不十分だったように思います。

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帰り道、晴れ間が差すたびに後ろ髪を何度も引かれました。

これが自分の初めての撤退経験。

もっと早く登っていれば展開が違ったんじゃないか・・・という悔しさ。もう少し待っていれば天気が回復するんじゃないか、本当に引き上げて良いのかという誘惑。帰り道ではいろいろな気持ちが交錯しましたが、初めての土地であることと、まだまだ浅い雪山経験、それらを省みれば、無理せず撤退するべきと思って、下山したのを覚えています。

実際、下山してから何度も岩手山を振り返りましたが、暗い雲が抜けたことはありませんでした。

弘前の街まで戻ってからも、判断は間違っていなかったと理解できるのですが、なんとも表現しがたい苦い思いが何度となく押し寄せ、弘前公園から岩木山の方角に日が落ちるのをぼんやりとみていました。そんな中撮ったのが、最後の一枚です。

また来ればいい、そう簡単に切り替えられないものの、次の日は八甲田山。いつまでもしょげているわけにはいけません。もう一度、岩木山の雄姿を思い出してから、青森行の電車に乗り込んだのです。